「占星術」と「天文学」
「まず第一に注意すべきは、「占星術」と「天文学」という用語がそれぞれ別の意味で用いられるようになったのは、比較的最近のことだということである。ギリシャではこの二つの単語は、これらが現在それぞれ意味しているものの総体を示すため、無差別にもちいられていた。だから一見したところ、これは元来一つの科学の部分であったものが「専門化」によって分化した一例に思えるのかもしれない。しかし、ここで特徴的なのは、この科学の一方、すなわち物質的側面を代表する部分だけが独自の発達を遂げ、他方は完全に消え失せてしまったことである。あまりにも完全に消え失せてしまったので、今日ではもはや古代の占星術がいかなるものであったかわからないほどだ。」
ルネ・ゲノン著「世界の終末」81~82ページ
伝統主義的な著作で有名なルネ・ゲノンの言葉です。古典占星術については西洋でも、東洋でも文献は残ってはいますが、原初の伝統の中にあったものの、ほんの一部が逸脱した占い技術として伝わっているのであり、本来の占星術ではないということをルネ・ゲノンは主張しています。
現代の占星術をどのように認識するかということが、たまに議論になりますが、もともとのものではないので、論拠にすべきものを持たない議論ということになります。
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