『すべて、そして、なにもかも』第1の書『ベルゼバブの孫への話』
グルジェフの著書『すべて、そして、なにもかも』は3冊の著書から成り立っています。
その第1の書は『ベルゼバブの孫への話』です。(平河出版から出ている日本語翻訳は原文とは異なる内容ですので、フランス語版か英語版を見てください)
このなかにグルジェフの考え方、宇宙論、古代の歴史を基にした寓話が描かれています。 初期のグルジェフの教え方の中から生まれた言葉に「自己想起」という概念があります。
しかし、グルジェフの主著である、このベルゼバブのなかには「自己想起」という言葉は、2か所ぐらいしか出てこなくて、そして、かならずこの言葉を茶化したような書き方で扱っています。
実は「自己想起」という概念の基になった原理はしっかりこの「ベルゼバブ」に別の形で、書かれているのです。かなりなページを使っています。
「自己想起」がどうこう言う人は、グルジェフというよりウスペンスキーの流れをくんでいるグループです。ウスペンスキーは、最初、グルジェフのもとで学んでいたのですが、その後離反をして、自分独自の活動を始めたという人物です。 (ただし、ウスペンスキーは自分が「グル」になるということはしませんでした。)
このウスペンスキーが重視したのが「自己想起」です。ウスペンスキーが「G」から聞いた言葉の記録のなかに「水素論」があり、その水素論と結びついているのが、この「自己想起」という概念です。水素48を変換し、さらに炭素24をいかに生み出すかという文脈の中で語られます。
ここでいう水素論やその周辺のことを話すと、一日かかるぐらいの内容になります。しかし、結局、ウスペンスキーが作った袋小路のなかに入っていってしまいます。
そういった流れに入るよりも、もともとの思想が書かれているベルゼバブのほうをよく確認したほうがいいのです。
表面的な観念でしったかぶりをするのではなく、出所をよく確認したほうがいいという実例になっています。
0コメント