アラン・オーケン氏の『魂中心占星学』について
アリスベイリーの著書の「秘教占星学」に興味がある人の一部に、アラン・オーケン氏の『魂中心占星学』に準拠した考え方の人がいました。
ごく簡単にこの本を説明すると、基礎ができていないのに、神智学的な用語をちりばめた本を書いてしまった例です。「七光線」やその他、アリスベイリーの著書に出てくる概念の単語が多く含まれています。
いくつか問題点を書きますと以下の通りです。
1.未発見の惑星について、未発見の惑星ヴァルカンの位置をクックブック風に書いている。
ウェストンの発表したデータを基にした暫定的な軌道要素の数値でコンピュータで出したデータをもとにしていますが、二回の観測データで、惑星の軌道要素は出せません。これは天文学的な常識です。観測データには長年の積み重ねがあって、初めて、軌道要素が確定していきます。冥王星についても、いまだに、観測がされて、軌道要素の数値の確認がされています。 コンピュータで、暫定的なデータで計算しても無意味です。
(ヴァルカンは、そもそも物理的に存在しないので、通常の方法で観測はされません。)
2.諸体の光線の定め方には、直接的に言及はありません。
3.魂のホロスコープについては、言及はありません。
あくまで「魂中心の」と書名にある通りで、別の見方の提供をしていますが、魂のホロスコープについては扱っていません。魂のホロスコープについては、アリスベイリーの著書の「秘教占星学」に言及があります。
4.ホロスコープの要素について、エネルギー次元での分類ができていません。
この本は、通常行われているホロスコープの知識の中に、独自の解釈で七光線やアリスベイリーの本のアイデアを織り込んでいるのです。しかしそれは結局、体系的にはアリスベイリー著「秘教占星学」とは相いれません。
アラン・オーケン氏の『魂中心占星学』を真に受けて、「魂中心占星学」こそ、占星学の上位にあるものという教義を強硬に主張するものまで、日本に現れました。(1997年前後)そしてアリスベイリーの「秘教占星学」の内容自体、その本質を否定し始めていました。自説を主張するための根拠としてアラン・オーケン氏の著作を利用したということです。かつて『学園』のマークを盗用して、個人的な拠点に掲げていたひとはそういった動きの一部です。
結局のところは、アラン・オーケン氏の活動は、もともとアリスベイリーの活動とは無関係で、アリスベイリーの著書を個人的に研究し、利用したということです。こういったことは基礎が全くないから、起きた現象であると思います。 アリスベイリーの本「秘教占星学」をもとにしながらも、自分の考えをつぎ足ししていきながら、元とは全く違うものにしてしまう人が、多くいます。
この問題については、人間の知性の働きについて、多くのことを教えてくれます。
もともと、秘教占星学の書き方が難解ということもあるのですが、わからないものをてっとりばやく、既知のもので、補おうとする過程で、多くの誤りが生まれています。
0コメント