中国の占星術『七政四余』について
国書刊行会から『七政四余』という本が出版されています。 副題に最高度の占星術と書かれています。 この本の著者、判田格氏は、もともと日本で明澄派の占術を教えていた香草社の書籍で東洋占術を長年学んでいた人ですので、かなりその方面のバイアスはあります。その「明澄派」では、斗数を初歩的なものと考えて、八字が次の段階のもの、『七政四余』を上位においていたようです。
ただしその分類は的を射ているとは言えません。紫微斗数は、実際かなり高度な命術です。
判田格氏は事情であまり精神を集中することができないのですが、20年という長い時間をかけることで、本書のような著作を書き上げました。定職に付けれないというハンディを、ある意味、生かしたといえるでしょう。
本書では、張果星宗の占星盤を再現するところまでの内容になっています。
判断の仕方については、初歩の本だからか、あまり踏み込んでいないです。古典の翻訳を代わりにつけているという構成になっていますが、そのため、行運の見方が不足しているように思います。
大限については、実際上、これではあまりに単純な判断になってしまいます。
現代の紫微斗数の見方はかなり高度なものになっていますが、現代的な『七政四余』はいかなるものであるのか、今後の著作を待ちたいところです。
『七政四余』という体系からすると、現代の占星術としては、天王星、海王星、冥王星が必要になります。 特に社会のことを占断するためには、この三つの惑星は重視するべきです。
ジョーテッシャの場合は、多くの技法を複合させる体系ですので、必ずしも天王星、海王星、冥王星は必要ではないのですが、この『七政四余』は、いわゆるオリエント式の体系ですので、天王星、海王星、冥王星が必要とされるスタイルです。本書は入門書という位置づけか、そういった現代的な意味を扱うところまでには踏み込んでいないです。
また月のノードについては、古い文献を基準にしていますので、ミーンノードのデータを用いていることになります。羅ゴウ、計都の位置が月のノードです。現代においては、ジョーテッシャでも月のノードはトゥルーノードを使うのが一般的であり、そうしたほうが確度が高いことが知られています。
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