「ヤコブ・ベーメと神智学の展開」岡部雄三著

「この本の序章から2章まではヨーロッパの神秘思想史とヤコブベーメの思想の概要が、手際よくまとまっています。この部分だけでも、大変価値があります。 


 序章では「乙女ソフィア」という女性的な人格神の扱いの変遷、古代から、さらにキリスト教のなかで、どのように扱われてきたかを解説しています。 

三位一体とソフィアとの関連、「乙女ソフィア」と聖母マリア、乙女マリアとのとらえ方の歴史的な変化についてまとめています。

ユングが語ったように神話では「父・母・子」の元型的物語がありますが、三位一体では女性面がなくなっています。その三位一体とソフィアの関連の考察が面白いです。 


 エソテリック・ティーチングでのマリア原理は本来は、人格神ではなくて、宇宙的な原理の事なのですが、スティリアノス・アテシュリス氏とそのとりまきによって、聖母マリアは人格神に変えられてしまっているのは残念です。スティリアノス・アテシュリス氏は普遍的なものを個人的なもの、血筋と結びつくものとしてしまう癖があるので、人格神マリアは矮小化された観念です。 

(その宇宙的な原理には、はっきりした言語表現があるのですが、ここではひとまず抑えておきます。) 

そのマリア原理について、数千年前では「乙女ソフィア」で説明しているということがこの序章でわかります。 


 第1章と第2章はヤコブ・ベーメの神秘体験がとりあげられて、そこからキリスト教の観念との関連が考察されています。

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