源氏物語と占星術
大久保健治氏の源氏物語を考察した本を読んでいます。
この本の中で源氏物語には、隠喩を用いて書かれていることを指摘しています。若紫が雀を飼うということは、この隠喩の一つと指摘しています。
各帖の主題が十二宮と関連づいていて、さらに登場人物が十二宮に結び付けられていて、その帖のなかで、登場人物は対になる宮(オポジション)とその隣宮になるように設定されています。
各帖は四つの宮の性質から話が構成されていると考察しています。
どの宮であるかは、登場人物の言葉や数字を通して、直接。または間接に示されているとしています。
平安時代の貴族クラスの人々は、暦を用いて、日々の行動を決めていたといわれていますが、占星術についても織り込まれているということです。
源氏物語を平安の「長編小説」と解釈する人もいると思いますが、現代の長編小説とは構造が異なります。小説というより、物語であるのが本質です。隠喩をふんだんに含めた物語なので、二重三重に読みとけるものだということです。
さらに予言の側面についても指摘しています。源氏物語は、以上のような背景も意識して読めるというとても興味深い書物です。
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