『イモータル』 萩 耿介著
『イモータル』 萩 耿介著
萩耿介氏による小説です。『智慧の書』をめぐった物語が、いくつかの時代を経て、進んでいきます。それぞれの物語が、最終的に一つに つながっていくのですが、そのなかで地上的な生活の中の葛藤と人間の精神が求める憧憬との間の相克について描いています。
哲学関係の書名が出てきますが、ヴェーダやウパニシャッドについて知らなくても、この小説は、楽しめます。インド哲学そのものが主題になっているわけではないからです。
人の精神の中で消えることがない日常を超えた世界へのあこがれとその世界から折り返して、地上世界で「アートマン」としていきることについて、
見事に描き出している小説です。
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