プラトンの「エピノミス」

プラトンの著作とされる作品に「エピノミス」というものがあります。 この中で、占星学について言及されていて、知恵を得る最高の方法として、占星学が挙げられています。 

プラトンの著作の「国家」では、知恵を得るための教科について、もっと別のことが順序立てて書いてあります。 

これらの二つの作品の主張は、矛盾してしまうのです。  

プラトンの著作は後世の手直しが入ったり、偽作とされる手紙があったりして、「エピノミス」で言及される占星学にかかわる表明が本当のプラトンの言葉だったのかどうか、疑問があります。 ただし「エピノミス」の文体はプラトンのものに近いという分析結果もあります。 

プラトンが、何かのおりに語ったことが、「エピノミス」として記録されたという可能性はあると思います。  

占星学自体は古代叡智の反映が残されているものですから、プラトンが探求していたピタゴラス学派の思想と親和性が高いです。プラトンが「国家」で語っていることの中には、数学や空間に関する学問を、薦めていますので、コスモスにかかわる学問としての本当の意味での星の学問は、無縁ではないと思います。 

プラトンの書き方は、結構抑制のきいた書き方で、あまり単純に結論に結び付くような、書き方はしませんから、はっきりとはしないのですが、「エピノミス」で出てくる言葉は、異なる文脈でいわれたことかもしれませんが、意外に本当の言葉であるかもしれません。 

 ※プラトンの著作は対話形式で書かれていて、ほとんどの場合、ソクラテスとだれかとの対話という形式をとっています。 ただしこれは本当に行われた対話の記録ではなく、プラトンが思うことを、ソクラテスの姿を借りて語らせているのです。