書評『「分ける」こと 「わかる」こと』坂本賢三著
分けるということは分類する体系があることで、その体系を共有することにより、わかるが成立するということを本書は、いろいろな事例で説明しています。
分類の仕方が、人間の認識を規定していくという働きがあるということです。
西洋のオカルト科学の分類の仕方と東洋の秘教思想の分類の仕方が異なるので、同じ事象についても、説明が異なっています。これは分類の仕方によるということです。一般に西洋の体系は奇数を好み、東洋の体系は偶数を好みます。このように分類の仕方は、文化などにより幅があります。
しかしソシュールが言うように「体系」ということそのものが各構成要素の位置関係でその構成要素の意味を決めていくという作用も持っています。
分類そのものは人間が作った枠組みであり、ただ存在するそのものではない。しかし分ける行為と統合するという行為の両方の活動により、人間の認識作用をを深めていくということです。言い換えると、分析と再構成がセットにできて、はじめて分かったとなるということです。
分類が進むことの一つの作用は専門化ですが、この専門化が進むことによる問題は「大衆の反逆」の中でオルテガが指摘しています。オルテガが言う大衆は狭い見地しか持っていない専門家のことです。
分類と統合の観点は、占術の適用の点でも役に立つと思います。
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