体系のこと:「ソシュールと言語学」町田健著
構造主義の元祖とされるソシュールの言語学について「ソシュールと言語学」(町田健著)を読みました。
ソシュールは「構造」ではなくて、「体系」という言葉を使ったのですが、言語学以外の分野にも考え方が適用されるなかで「構造主義」という分類でくくられるようになりました。
ソシュールが言ったのはなんらかの事物が体系を作るとき、その個々の事物の性質はその体系に含まれるほかの要素との関係で決定されるということです。
個々の事物が単体で存在するのではなくて、体系が組まれる時、相互の位置関係を調整しながら、ここの事物が存在しているという視点はほかの分野、社会科学でも、生物学でも、適用できる考え方です。
七光線と音素との関係で、フランス語やドイツ語の発音に関して触れた記事を数カ月前に書きましたが、 フランス語でのRの発音の特異性とHに相当する音の表面的な欠落との関係性について、自分が思っていたこととソシュールがいう「体系」の考え方はかなり呼応しています。
体系というのは、その構成要素が一つの組織体のように、自律的に位置を占めていくという動きが出てくるともかんがえられるでしょう。
奇数を好む西洋思想と偶数を好む中国系思想の違いも、「体系」の作り方の違いであって、本質的な相違ではないということになります。
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